1. 社内Wikiとは何か
社内Wikiとは、いわゆる「Wikipedia(インターネット百科事典)」の自社版にあたるもので、個々の社員が持つ情報をオンライン上でストックし、情報共有・コミュニケーションをスムーズに進めるためのツールです。
ローカルのパソコンなどにデータを保存するのに比べて、情報へのアクセスがスムーズになります。
そもそも「Wiki」という単語は、ハワイ語の「wikiwiki(速い)」に由来しており、ブラウザを使い手軽にWebページを作成・編集できるシステムのことを指します。
通常、Wikiは誰でも・ネットワーク上のどこからでも文書の書き換えができる仕組みとなっており、共同での文書編集に向いています。
企業によっては、自作で独自の社内Wikiを構築・運用しているケースもあります。
少し時代をさかのぼると、例えば社内のコミュニケーションツールとして用いられてきた「社内報」のような媒体が進化したものが、社内Wikiと言えるかもしれません。
1:社内Wikiに注目が集まる背景
リモートワークなど、新しい働き方が広まったことをきっかけに、社員同士が直接話せない中でも「質の高いコミュニケーション」を実現するための手段が必要になりました。
オフィスに社員が集まっていた頃は、すぐにコミュニケーションをとって解決できた問題が、リモートワークではすぐに解決できないという声も多く聞かれます。
人材の異動や退職にともない、後任が見つからず特定のスタッフが兼任を続けていると、それだけ対応も遅れがちになるでしょう。
結果的に、サービスの低下につながるおそれがあるため、担当者・部署間のスピーディーな情報共有ができるツールとして、社内Wikiは改めて注目されているのです。
2:社内Wikiの種類
社内Wikiには、大きく分けて以下の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
傾向としては、クラウド型が優勢にあるものと考えてよいものの、社内という限られた環境で利用することを考えると、インストール型のメリットも見逃せません。
導入にあたっては、実際に利用する現場の意見も確認した上で、慎重に決断したいところです。
2. 社内Wikiを導入・作成するメリット
社内Wikiを導入し、実際に運用することで、企業には以下のようなメリットがあります。
まとめると、社員一人ひとりが、
・欲しい情報に
・欲しいタイミングで
アクセスできることが、社内Wikiを導入する大きなメリットと言えるでしょう。
3.社内Wikiを作る前に、決めておくべき4つのポイント
自社で社内Wikiを構築する際は、着手する前に決めておくべきポイントが4つあります。
以下、それぞれのポイントについて解説します。
1:社内Wikiを作る目的を決める
たくさんの情報を取りまとめられるメリットは、かえって利用者が使いにくいと感じるデメリットにもなるため、それぞれの部署・社員に使い方のイメージを伝える必要があります。
そのため、最低限の目的として、誰が・何を知るために構築するのか、明確にしておくことをおすすめします。
ただ、具体的なユーザー層をイメージできない企業も多いはずですから、最初は社内教育に目的を絞ってみましょう。
ベテラン社員が社内Wikiにアクセスする機会は、経験の少ない社員に比べて少ないものと推察されますから、社内教育を洗練化・圧縮できるだけでもメリットを感じられるはずです。
2:掲載する情報の範囲を決める
社内Wikiは便利なツールですから、社内の共有文書をすべて保存しようと思えば、機能が許す範囲で保存ができます。
しかし、一口に共有文書といっても様々な種類があり、何でもかんでも保存してしまうと、かえってデータのチェックが煩雑になるものと予想されます。
そこで、掲載する情報の範囲をあらかじめ決めておき、社内Wikiの活用方法をイメージしやすくすることが大切です。
ポイントとしては、社内の属人化を防ぐための情報に絞って、保存を進めていくのがよいでしょう。
例えば、経理部門における作業マニュアルを保存するのであれば、まずは「特定の担当者しかやり方が分からない」業務に絞ってマニュアルを保存していきます。
担当者が休みの日でも仕事が回るようになったら、次に新入社員向けマニュアルを保存するといったように、範囲を少しずつ拡大していくことをおすすめします。
3:更新・編集/閲覧につき権限の範囲を決める
社内Wikiで情報を取りまとめるにあたり、更新や編集の担当者を決め込んでしまうと、かえって社内Wikiへの活発なアクセスを減らすことにつながります。
かといって、すべてのスタッフが際限なくすべての情報を更新・編集できるようにしてしまうと、無秩序な更新によって正しい情報が損なわれてしまうかもしれません。
そこで、更新・編集ができる社員と、閲覧のみ可能な社員について、権限の範囲を決めていく必要があります。
ただし、権限は細分化しすぎると逆効果ですから、入社してから一定期間が経過した社員に更新・編集の権限を与えるなど、可能な限り多くの社員が社内Wikiの更新・編集に携われるようルールを定めたいところです。
4:運用を踏まえた「Wiki活性化チーム」を結成する
どのような仕組みも、ただ導入しただけでは、よく利用する人材とそうでない人材に分かれがちです。
せっかく社内Wikiを導入するわけですから、活性化を目的としたチームを結成し、社員による活用の機会を増やす努力をしましょう。
社内Wikiの管理を専門に行うチームがあれば、他の社員の窓口として活用できますし、運用中の不具合・トラブルへの対応もスムーズになります。
現場の事情に精通している人材や、IT関連のスキルが高い人材を登用し、社内Wikiの認知と利用を促しましょう。
4.【厳選】社内Wikiおすすめツール5選
実際に自社で社内Wikiを導入するにあたり、名前を知られているという理由だけで導入すると、運用が難しくなったりランニングコストが負担になったりして、自社で普及しないおそれがあります。
そこで、導入のハードルが低いツールの中で、特におすすめのものを厳選してご紹介します。
・Qast
業種や職種を問わず利用できる、シンプルな操作感が評価されている社内Wikiツールです。
リアルタイム通知やQ&A機能など、使い勝手の良さが大きなメリットです。
詳細な料金プランは要問い合わせとなっていますが、フリープランの場合は月額料金が永年無料(10名まで)です。
初めて社内Wikiを導入する企業にとっては、チャレンジしやすいツールと言えるでしょう。
・Confluence
社内の知識を集めて、共同作業を効率的に進める仕組みを持ち、あらゆる階層の従業員による意見交換・共有がしやすいツールです。
様々な業種・業務内容に対応したテンプレートが用意されているので、一からテンプレートを用意する手間が省けます。
料金プランはFree・Standard・Premium・Enterpriseの4種類があり、Freeプランは10ユーザーまで無料で利用できます。
Standard以上は35,000ユーザーが上限となり、1名あたりの月額料金も発生します。
・PukiWiki
導入してから使い始めるまでのステップが少ないツールの一つで、日本で開発されたWikiシステムであることも、企業にとっては試しやすいポイントです。
階層によるページ管理ができるため、マニュアル等の管理に活用しやすいでしょう。
無料で利用できる反面、ユーザー数や情報量が少ないことから、何かトラブルが発生した際に自己解決を要する場面に遭遇する可能性があります。
デザイン自体はシンプルにまとまっているので、Wikiサービスがどのようなものか、実験的に導入したい企業に向いているかもしれません。
・Kibela
社内のノウハウ共有をサポートする「ナレッジマネジメントツール」で、テキストエディタの充実・Excelファイル等のコピペによる表作成・画像や動画の貼り付けといった、記事投稿に関する機能が豊富です。
ユーザーの権限は4段階で設定でき、共有された記事に「いいね!」でレスポンスしたり、コメントして議論したりすることもできます。
料金プランは、コミュニティープラン・スタンダードプラン・エンタープライズプランの3種類で、コミュニティープランはユーザー5名の利用までずっと無料です。
スタンダードプラン以上のプランを選んでも、無料トライアル期間が設けられていますから、使用感を確認してから本格的に導入できるのもメリットです。
・Scrapbox
アウトプットに重きを置いたツールで、単語を[カッコ]で囲むだけで、ページ間をリンクさせることができます。
複数ユーザーによる同時編集のほか、ドラッグ&ドロップ・コピー&ペーストによる添付作業にも対応しているので、社員のITリテラシーに差があっても運用しやすいのがメリットです。
料金プランは3種類で、ビジネス目的で利用する場合、BUSINESSプランからのスタートとなります。
BUSINESSプランは1ユーザーあたり1,100円(税込)で利用でき、30人以上で利用する場合はENTERPRISEプランの利用で強固なセキュリティが確保できます。
Scrapbox – チームのための新しい共有ノート
5.まとめ
自社で社内Wikiを活用できれば、作業コストや労働時間の圧縮、業務効率化につながります。
しかし、導入から安定した運用に至るまでは、多くの手間がかかることを想定しなければなりません。
担当できる人員が少ない場合、オンラインアシスタント“なげっぱ”を利用して、本格的に社内Wikiを運用するまでの間、ビジネス全般の業務をいったん任せるのも一手です。
手が回らないタイミングだけ、人手が欲しいとお考えの企業担当者様は、まずはひと月からご利用をご検討ください。