1．働き方改革とは

働き方改革とは、労働時間短縮などの労働環境の改善や、フレックスタイムや時短勤務の導入など働き方の選択肢を増やすことにより、一人一人が心身を健やかに保ちながら働くことのできる環境づくりの動きを指します。

2019年4月の『働き方改革関連法』の施行がきっかけとなり、労働環境の大幅な改善が社会的に求められる様になりました。例えば残業時間において、上限規制が定められ、違反した企業には厳しい罰則が科せられます。

企業には、労働者が自身のワーク・ライフ・バランスに合わせた働き方ができるような環境作りをする責任があります。

2．働き方改革において企業が見直したいポイント

ポイント1：残業時間の多さ

『働き方改革関連法』で定められた範囲を超える場合は、労働時間を短縮させる必要があります。雇用形態にかかわらず、労働環境や業務内容を見直していきましょう。

ポイント2：有給休暇の取得率

年間5日の年次有給休暇の取得が義務付けられています。従業員一人一人の有給休暇取得状況を管理・把握し、全員が必ず有給休暇を消化できるようにする必要があります。

ポイント3：社員は十分な休息をとれているか

政府が推奨しているのが、就業時刻から次の始業時刻までに充分な休息を取れるよう、一定時間のインターバルを設定する『勤務間インターバル制度』です。しっかりと休息をとることは従業員が心身ともに健康な状態を保つことに加え、業務効率も上がることが確認させています。

また、労働安全衛生法において従業員が50人を超える事業場では産業医を設置することが義務付けられています。定期的に健康チェックや診察が受けられる体制を整えることで、超過労働やストレスから生じる健康被害を防ぐことができます。

ポイント4：テレワークの導入・実施の継続

新型コロナウイルス感染症が流行し、多くの企業では在宅勤務制度が導入されることとなりました。クラウドシステムの導入など業務の見直しも行われたことで労働時間の大幅な短縮が確認され、ワークライフバランスの向上が実現されました。

テレワークを現在実施している企業は約70％に及びます。　総務省の「テレワークの最新動向と 総務省の政策展開」（http://teleworkkakudai.jp/seminar/2020/pdf/iwate/01_soumu201127.pdf）によると、テレワークの働き方に満足している社員は61％と半数以上の結果となっていることからも、会社にとっても労働者にとってもメリットがあると言えます。

▲東京商工リサーチ参照（2021年6月時点）参照

ポイント5：雇用の格差

上記①～④の働き方改革ができている企業は、非正規雇用の労働者にも同じ待遇で働き方の見直しができているか確認をしましょう。コロナ渦中も、派遣社員やパートタイマーに対して従来通りの出社を強いているケースも生じています。

雇用形態にかかわらず、勤務形態や業務内容を公正に見直していくことが重要です。

3．働き方改革を成功させるヒント

ヒント1：公平な人事評価制度や給与規定を策定

年功序列が目立った日本の人事制度も近年では見直され、能力や実績が昇給や昇進の判断基準となる成果主義へとシフトしてきています。公平な評価は、従業員のモチベーションに直結し、離職の防止や企業成長へつながります。優秀な人材確保のためにも、公平な評価体制を築いていきましょう。

ヒント2：従業員へのアンケートを実施し、満足度を高める

大手企業を中心に「満足度調査」の実施が進んでいます。ストレスチェックとは別に『社員ニーズの確認』『いじめ・ハラスメント防止への早期対応』『不祥事発生などトラブル防止』などを実現できるアンケートは、会社と労働者の重要なコミュニケーションとして、今後より重みを増していきます。

『社員ニーズの確認』を行うことで、様々な働き方改革がある中でどの制度を導入すべきか指標が得られます。調査結果をもとに、業務効率化や休暇制度の見直し、フレックスタイムやハイブリッド勤務の導入など柔軟な働き方を目指していくと良いでしょう。

ヒント3：不要な労働時間を削減

リモートワークによってオンラインでの作業環境が整備され、業務効率化が図られたことで、多くの企業では超過労働時間が大幅に削減されました。従来時間を割いていた紙ベースでの書類のやり取りや、長時間の会議、雑務のルーティンワークなど、不要な業務を定期的に見直すことで生産性の向上がのぞめます。

削減できない雑務やルーティンワークについては、アウトソーシングを検討することもおすすめです。重要な業務に集中できることで業務効率の向上も叶えられ、人件費も節約できるため、近年需要が増えている傾向があります。

4．まとめ

より良い労働環境を実現させることが、従業員のモチベーションアップや生産性の向上につながり、事業の拡大にも直結します。働きやすさを追求し続けることが、会社のより良い未来を築く第一歩となるでしょう。

従来の方法にこだわらず、時代にあった柔軟な働き方を実現していきましょう！